神奈川県は横浜市保土ヶ谷区天王町にある「いきいき杉山クリニック」。
杉山院長が「自らの診療スタイルは、病院よりも患者さまに近いクリニックの方が向いている」と考え、 2009年にクリニックを開設した。
杉山院長の専門は循環器内科で、内科医として様々な病院で、診療に携わってきた。 病院にいる当時から「プライマリケア」を行いたいという意識が強くあり、 自然にクリニックの開業を考えたとのことだった。
クリニックのコンセプトである、「患者さまに親しまれる、明るく誠実なクリニック」を目指し、 クリニックは全体的に明るいトーンでまとめられている。
内科医であり、感冒をはじめインフルエンザや生活習慣病など幅広い分野で診療を行うことから、 X線撮影装置、CR、エコー、心電計などの機器から、 アウトプットされる様々な医用画像が電子カルテの横に配置された画像ファイリングシステムで管理できるようになっている。
専門の循環器内科以外にも、主に生活習慣病を含めた内科の診療に力を入れる同クリニックでは、 診療所と病院をつなぐゲートキーパーの役割を意識し、また限られたスペースを有効活用するため、 開設当初から電子カルテ、PACSの導入を念頭に置いたクリニックづくりがされている。
電子カルテ選定のポイントのひとつがPACS、医療機器との連動性の高さである。 電子カルテの選定にあたっては、企業の信頼性および「サポート力」を重視し、 そのほか「販売実績」や「操作性」も合わせて考慮したとのことだった。
サポートは、一般的に「トラブル時」「診療報酬改定時」「定期訪問」の3つが大切であるが、 杉山院長もこの部分を最重要項目に位置付け、選定にあたったとのことだった。
「販売実績」については、パナソニック ヘルスケアがレセコンにおいても電子カルテにおいても業界ナンバーワンであり、 その実績と経験を高く評価されていた。 「操作性」については、2号用紙に近いレイアウトで、入力しやすいレイアウトを希望されていた。
待合室は、受付前と、診察室の前に縦長に設置され、オレンジ色のソファがクリニックの暖かい雰囲気を醸し出している。また、患者さまに待ち時間を長く感じさせない工夫として、大型スクリーンを設置し、ヒーリング映像などをDVDで流している。
患者さまには受付時に問診票の記入をお願いしている。 電子カルテを導入しているクリニックではあるが、問診には紙を利用している。 完全にペーパレスにするよりも、患者さまに記入いただく部分には、紙を残す方がかえって効率がよいとの判断である。
受付と会計を行うため、電子カルテ端末がある。画面には各患者さまの状況が一覧に表示されている。パナソニック ヘルスケアの電子カルテ「Medicom-HR」は使いやすいと受付スタッフの評価も上々である。
問診票は、診察室のデスクの上に設置された棚に、来院順に重ねていく運用がとられている。電子カルテを導入し紙カルテをなくしても、あえて紙の問診票を回すことで、物理的な動線を確保している。
診察室のデスクには、右側にパナソニック ヘルスケアの電子カルテ「Medicom-HR」を、 左側に富士フイルムのPACS「CAPSULA VIEW」を設置している。 富士フイルムの「CAPSULA VIEW」はCRの操作盤(コンソール)も兼ねており、電子カルテを書きながら、 レントゲンのエントリーも簡単に行える。
電子カルテを導入すると「患者さまの顔を見なくなる」との指摘がある。杉山院長もそれを意識してか、できるだけ患者さまの顔を見ながら電子カルテを操作するように心がけているとのこと。
カルテの入力には、テキストの直接入力とシート機能を併用して行っているとのこと。 シート入力は紙カルテの感覚に近く、使いやすいと高い評価。外注検査の多い内科にとっては、 外注検査のオーダーは「紙のオーダーシートのイメージそのままに入力できる」と、その再現性を評価していた。
電子カルテ導入のメリットとして挙げていたのが、データの2次利用。特に紹介状や診断書の作成については、 カルテをコピー&ペーストで作成できるので、スピーディに書類作成が可能。紙カルテの頃は何度も同じ内容を手書きしていたことを考えると、 転記ミスがなくなる上に、大幅な業務効率化につながっている。
専門が循環器内科のため、心電計は必須医療機器と考え導入。 処置室に設置されている。いまのところ一般内科が多く、あまり登場機会がないが、徐々に件数が増えているとのこと。
心電計の波形データは、デジタルデータで取り込まれ、管理される。
エコーも循環器内科にとっては必須の医療機器である。
エコーの画像も富士フイルムの「CAPSULA VIEW」につながっており、画像がデジタルで管理されている。
診察室、処置室の先にレントゲン室がある。 レントゲン画像もCRでデジタル化し、「CAPSULA VIEW」で管理されている。
レントゲン室のとなりにCRが設置されている。 スペースの観点から、操作モニターを診察室に置くことで、 狭さを感じさせない。CRによってデジタル化されたレントゲン画像は、即座に画面に映し出される。 その速さに驚く患者さまも多いとのことだった。
クリニックのエントランスは全面ガラス張りで、中から明るい光が映し出されている。クリニックのコンセプトと杉山院長の人柄である「明るさ」を全面に出したつくりである。
実際に電子カルテを導入してから感じることは、「サポート力の高さ」 だと院長は話された。導入から半年の期間は、月1回は定期的にインストラクターがクリニックに訪問し、レセプトの確認と共に、薬のセットの見直しや操作説明などが実施されているとのこと。
この月1回の訪問に合わせて院長が疑問点などをまとめておくと、サポート時に疑問が解消できたため、毎月、毎月使い勝手が高まっていったとのことだった。
また、電子カルテ導入の効果について杉山院長は次のように述べる。 「診療、検査、紹介状の作成など、すべてがスムーズに使用できています。 特に紹介状などは、カルテから直接引用でき非常に便利です」 「トラブル時の電話指示なども非常に的確で、多少のトラブルであれば、電話だけで解決する」 パナソニック ヘルスケアの「Medicom‐HR」は、クリニックに必要な機能をすべて併せ持ち、 操作性を重視していた杉山院長にとって必要十分な電子カルテであった。
また、「サポート力で選んで良かった」と先生の大満足の声を聞くと、 いかに電子カルテの導入についてサポートが大切であるかがわかる。
機能、操作性ともに各社のレベルが拮抗してきた現在では、 サポートの善し悪しが製品選定および導入後の満足度に大きな影響をもたらすことが分かる好事例であった。
(執筆・取材:メディプラザ統括マネージャー 大西大輔)
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