ケアフルクラブ悠々園の経営母体である社会福祉法人悠々会は、2003年に東京都町田市に設立された。2000年に介護保険制度ができてから3年後のオープンであったため、利用者に特別なアピールが必要と考え、まずパワーリハビリテーションに取り組んだ。1つ目のデイサービスセンターに、このパワーリハビリテーションを取り入れたのだが、当時は非常に先進的な取組みであったといえる。
その後、2009年4月に2つ目のデイサービスセンターとして、ケアフルクラブ悠々園をオープンした。悠々園のある地域は、富裕層が比較的多く住んでいる場所であり、利用者像は、学歴が高く、生活も豊かで、ハイソサエティな雰囲気のある高齢者だった。そうした人々の嗜好に注目し、「利用者が自主的に通える施設を作りたい」と陶山(すやま)理事長は考えられた。
陶山理事長は、「これまでのデイサービスの概念にとらわれず、高齢者が家族の都合ではなく、自分の意思で元気に通ってくれる施設を目指した」と施設のコンセプトを語る。
ケアフルクラブ悠々園では、1つ目の施設での経験を踏まえフィットネスシステムの導入が検討されていた。「『元気でカッコいい』というコンセプトに合うフィットネスシステムはないものか」と、ヘルス・アンド・フィットネス・ジャパンなどの展示会に見学に行き、製品の選定を進めた。そこで、一際目を引いたのがテクノジム社のブースだった。
テクノジム社は、イタリアに本社を置く世界的に有名なフィットネスマシンの会社である。イタリアやイギリスなどのサッカークラブのスポンサーをつとめるなど、フィットネス業界では有名だ。そしてブランド力も機器そのものも「カッコいい」という評価がフィットネス業界に溢れている。
悠々園がテクノジム社を選んだポイントは、次の4点。
(1)製品フォルムや企業ブランドが『カッコいい』
(2)営業担当者のレベル、アフターフォローが良い
(3)業界における知名度が高い
(4)施設の目的である「元気になれる、楽しくなれる」にフィットした「通いたくなる」デイサービスセンターを作るためには、どうしてもステータスと安心感の高いシステムが必要であった。
コンセプト、デザイン、そして営業担当者の懇切丁寧なフォローを目の当たりにして、陶山理事長や柴田施設長は迷わずテクノジム社に決めることになる。
トレーニングルームの入口にある掲示板には、同施設でおこなわれるイベントが掲載されている。壁に掛けられている柴田施設長の接遇マイスターの証明書からも、利用者を大切にする情熱を感じる。
出席確認のため、「ウエルネスシステムキー※」を利用者に手渡す。利用者は、このキーで個人プログラムの呼び出し、使用機器の順番、血圧などの身体情報を確認できる。
※ウエルネスシステムキー
ウエルネスシステムと各トレーニングマシンを結ぶICチップ
内蔵の記録メディアで、様々なトレーニングデータを記録できる。
利用者は「ウエルネスシステムキー」を「ウエルネスエキスパート※」にさし込み、自分のプランに沿って、機器使用の順番を確認する。また、血圧などの情報も、「ウエルネスシステムキー」に蓄積される。
※ウエルネスエキスパート
システムとユーザーを結ぶインターフェイス。ウエルネスシステムキーにトレーニングプログラムの設定や、測定値の登録、トレーニング結果を確認する際に使用する。
「ウエルネスエキスパート」 に「ウエルネスシステムキー」をさし込むと、「ウエルネスシステムキー」に記録されているデータが自動的に読み込まれ、モニターに表示される。今まで自分がおこなってきたトレーニング効果(体重、筋力、走行距離など)の推移も確認することができるため、自分の健康状態を把握することができる。
施設内は、ガラス張りで明るく清潔感がある。ケアフルクラブでは「高齢になっても友達を作って欲しい」との思いから、30名のクラス制をとっているが、ひとりひとりに合わせた個人プログラムがあるため、機器の利用の間も利用者同士会話がはずむ。「ウエルネスシステムキー」は待ち時間中も手首につけおくことで、紛失・取り違いを防止している。
同施設では、転倒などを防ぐ目的として、上半身と下半身をバランス良くトレーニングしている。筋力系トレーニング用のマシンは、一定部位の強化に適した、高齢者でも安心して使用できるテクノジム社の「パーソナル セレクション ライン」を導入している。
【1】,【2】のマシンでは下半身のトレーニングを、【3】,【4】のマシンでは上半身のトレーニングをおこなっている。
マシンの機能性だけでなく、シンプルでカッコいいデザインも、利用者の評判になっている。
利用者は、スタッフに名前を呼ばれると、筋力系トレーニングマシンに設置されている 「アイソコントロール※」に「ウエルネスシステムキー」をさし込む。あらかじめ「ウエルネスシステムキー」に登録されている負荷、回数、可動範囲、スピード、休憩時間などの情報が「アイソコントロール」の画面に表示される。 高齢の利用者でも、表示された情報に沿ってトレーニングすることで、無理せず運動を続けることができる。
※アイソコントロール
筋力系トレーニングのためのインターフェイス。「ウエルネスシステムキー」から負荷や挙上回数などの情報を読み込んで表示する。
有酸素系マシンに設置されている「キーリーダー」に、「ウエルネスシステムキー」をさし込むとやるべきトレーニング内容が表示される。 「ウエルネスシステムキー」には、カロリー、心拍数、距離、時間など有酸素運動に必要な運動量情報が設定されているため、無理なく、無駄なく、高齢者でも安心して運動することができる。
「キネシス※」は、ケーブルの負荷を20段階に調整でき、利用者個人に合わせて基本的な身体機能(持久力・バランス・体力・柔軟性)を効果的にトレーニングすることができる。また、同施設でのキネシスを利用したトレーニングプログラムには、椅子に座りながらおこなうトレーニングが含まれているため、高齢者でも負担を感じることがない。
※キネシス
日常的な動作に即した運動から、特定の部位にフォーカスしたリハビリテーションまで、多様な目的に柔軟に対応できるテクノジム社独自のトレーニングマシン。
3ヵ月に1回体力測定をおこない、利用者はスタッフから、カウンセリングを受ける。現状と目標の確認に、「ウエルネスシステム」のレポート機能が役立っている。利用者の体力の状態によって、トレーニングプログラムの変更をする。
カウンセリングのあと、利用者の健康状態や利用状況をもとに、必要に応じてトレーニングプログラムを修正する。「高齢の利用者が快適に運動を継続できるのは、個人に適したトレーニングプログラムを提供できることが大きい」と柴田施設長は語る。オンリーワンのプログラム作成がおこなえるのは、テクノジム社の「ウエルネスシステム」ならではの機能と言える。
プログラムは、約2時間で終わる。利用者の6割は送迎サービスを利用しているが、4割は自らの足で通っている。健康である証拠に、送迎バスの乗降では、スタッフの介助を必要としない方も多いとのこと。この日も、プログラムを終えた利用者が、イキイキとした笑顔で施設をあとにしていた。
介護保険サービス以外に、水曜日には一般の方にも、施設を開放している。さらに、夜の空き時間には、同法人の約180名の職員にも開放している。スタッフの中でも、陶山理事長自らが率先して取り組んでいるのが印象的だ。
利用者と施設の接点を増すため、レストランやコミュニティースペースを設けている。直販で購入できる採れたての野菜も魅力である。
小田急線鶴川駅から徒歩10分の住宅街に、ケアフルクラブ悠々園はある。富裕層が多く住む、閑静な住宅街の景観を崩さないお洒落なつくりで、地域に密着した施設といえる。
ケアフルクラブ悠々園は、オープン以来、地域住民の関心が高く、施設見学が絶えないとのこと。利用者は80名を超え、「最大100名」という目標に向かって、順調に推移しているそうだ。
デイサービスセンターは女性の利用者が多く、男性は少ないのが一般的だが、同施設は男性利用者の割合が多く、サービスを率先して利用していることが特徴だ。
明るく楽しそうに自ら通っている利用者が多いことも特筆できる。そこは、一般的な介護施設とは、全く様相が違っている。
また、介護職員が機器の指導にあたるため、利用者にとっては抵抗なく使用できる、敷居の低いアットホームな雰囲気がでている。介護職員からは、テクノジム社の懇切丁寧な指導が大変好評であったとのこと。
同施設は、 「カッコいい施設で元気な明るい高齢者となってもらいたい」という柴田施設長の考えのもと、要支援1、要支援2の方々に限定した介護予防通所施設とし、テクノジム社のカッコよくて安心できる機器を導入したことが見事に好結果を生んでいる。
そして、ケアフルクラブ悠々園のコンセプトである「元気になれる施設」を具現化するため、テクノジム社はハード面・ソフト面ともに、オープンから一貫して、最良のパートナーとして、取り組んでいる。
「利用者に20年後、『悠々園に出会えて本当に良かった』と言ってもらえる施設でありたい」と、陶山理事長は将来を展望する。
テクノジム社はそれに応えるべく、今後も「質が高くてカッコいいサービス」を提供し続けることであろう。
(取材・執筆:メディプラザ アドバイザー 蛯名沙由莉)
医療機関の安心感,スタッフとの近い距離感,施設の高級感が魅力の、地域住民が毎日通いたくなる健康増進施設
メディカル・ウェルネス 導入事例