
病床数7床、透析病床10床で始まった黒沢医院を前身とし、1985年に開業した医療法人美心会黒沢病院。以降、増床とともに、標榜診療科を増やし、健康管理センターや訪問看護ステーション、特別養護老人ホームなどの開設と高度医療機器の導入によって機能を拡大。現在では外来、入院、透析、健診ドックの4本を柱に、24時間体制の救急対応も含め、地域住民の生活に密着した医療の提供をおこなっている。
理事長の黒澤功氏は、医の原点について、「病気を治療することだけではなく、健康を保つお手伝いをすること」と語る。
2009年7月に新たにオープンした健康増進施設「Medical Fitness & Spa Valeo Pro(以下、ヴァレオプロ)」は、まさに地域住民の健康を保つお手伝いを具現化するものだ。
黒沢病院では、1989年から人間ドックを開始し、受診者は年々、増加。近年では年間1万6000人にも達している。ただその一方で、人間ドックを受けていただき、結果をもとにアドバイスをするものの、翌年には同じ方に同じ指摘をするということが多々あり、もどかしく思っていた理事長は、自ら運動施設を作る必要性を感じていた。
ヴァレオプロは、黒沢病院の関連施設「ヘルスパーククリニック」の2階にある。2009年7月にオープンした同施設は、1階が外来診療とデイケア、3階が人間ドックを中心とした健康管理センターと、館内全体が予防医療に重点を置いた機能を担う。医療法人の付帯施設として認められた疾病予防のための運動施設、いわゆる「42条施設」である。2003年に準備を始めた当初はあくまでも「人間ドックを受診した人が利用する運動施設」という位置づけで、メディカルフィットネスをおこなう42条施設にしようとは考えていなかったという。
方針が変わったのは、準備を始めて5年ほど経った2008年頃。全国の多くの施設を見学に行くなかで、「地域住民の健康を保つために、運動習慣を身に着けていただく」というもともとの目的をより効果的に達成するには中途半端な設備ではなく、本格的なフィットネス施設が必要だと考えたからだ。
ただ、法人内にはメディカルフィットネスを運営することに対する抵抗感もあったという。その大きなハードルになっていたのは、「医療機関がフィットネスを行って何かあったらどうするのか?医療と密接に連携しなくてはならないのでは。」という既成概念だった。しかし、他病院の施設を見学し、話を聞いたことで、その懸念は払拭された。
複数のフィットネスマシンメーカーから話を聞き、最終的にテクノジム社に決定したのが2009年1月。選定の決め手となったのは、世界中で導入されているというブランド力、シックに統一された内観に溶け込むマシンのデザイン性、そして導入・サポートスタッフの能力と、「ウエルネスシステムキー」を用いた利用者の個別フォローの仕組みという4点だ。
決定してから半年足らずでオープンできたそのスピードに、導入・サポートの手厚さは表れている。マシンの選定から施設のレイアウト、スタジオプログラムの提案、スタッフ管理や顧客管理に関するノウハウ、トレーナーの教育に至るまで、サポートが充実していた。スタッフの教育に関しては、オープン前2ヵ月、オープン後1ヵ月の3ヶ月の研修に加え、3ヵ月後研修、6ヵ月後研修が行われ、研修内容もマシンの指導方法やスタジオプログラムの進め方、マネジメント、CSと多岐に渡った。

リゾートホテルのようなフロントで、利用者を笑顔で迎えてくれる。一見敷居が高くみえるが、利用者に名前で話しかけるなど、地域に密着した施設であることがわかる。フロントでは利用者ごとのトレーニングプログラムが登録されている「ウエルネスシステムキー※」が手渡される。

※ウエルネスシステムキー
ウエルネスシステムと各トレーニングマシンを結ぶICチップ内蔵の記録メディアで、様々なトレーニングデータを記録できる。

「ウエルネスシステムキー」を「ウエルネスエキスパート※」にさし込み、個人プログラムを起動させる。血圧を測定し、「ウエルネスシステムキー」に記録させる。
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※ウエルネスエキスパート
システムとユーザーを結ぶインターフェイス。「ウエルネスシステムキー」にトレーニングプログラムを設定や、測定値の登録、トレーニング結果を確認する際に使用する。

トレーニングの前に、利用者は専任の保健師に健康や体力の状態について自由に相談できる。トレーニングプログラムの内容もトレーナーと打ち合わせて変更が可能。スタッフとのコミュニケーションを楽しみに施設へ来る利用者も多い。

「トレーナーポイント※」に「ウエルネスシステムキー」をさし込むと、個々のトレーニングの実施データと結果情報がPCへ読み込まれ、モニターに表示される。必要があれば、トレーナーがトレーニングプログラムを変更する。

※トレーナーポイント
ウエルネスシステムキーからPCへの読み込み、書き込みを実施するシステム

有酸素系のマシンは、「キーリーダー」に「ウエルネスシステムキー」をさし込むと自動的にスタートする。運動時間や距離も利用者ごとに「ウエルネスシステムキー」に記憶されているため、安心して運動をおこなうことができる。利用者はTVなどを見ながら運動ができるため時間を忘れて続けられる。

「ウエルネスシステムキー」を筋力系マシンに設置されている「アイソコントロール※」にさし込むと、負荷・回数・スピードが表示される。「ウエルネスシステムキー」には、トレーニングプログラムが記録されているので、利用者は表示されている内容に沿って運動をおこなうだけでよい。
※アイソコントロール
筋力系トレーニングのためのインターフェイス。「ウエルネスシステムキー」から負荷や挙上回数などの情報を読み込んで表示する。

高級感のある施設内に、数多く配置されているテクノジム社のマシン。

老若男女を問わず気軽にできるサーキットメニューは利用者からの人気が高い。
有酸素運動と筋力トレーニングを交互におこなうサーキット・トレーニングは、生活習慣病の予防や、改善を考える利用者にとって、無理なく、飽きずにおこなうことができる。

ヨガやピラティスなどのスタジオメニューには、年齢に関係なく多くの利用者が集まる。

スパ(天然温泉)施設が整っているのもヴァレオプロの魅力。入浴を楽しみに利用者が集まるのもこの充実した施設を見れば納得がいく。

矢中町にあるヘルスパーククリニックは、遠くからでもすぐにわかる大きな施設である。
開設から9ヶ月程たったいま、ヴァレオプロの会員数は約930人。年齢層は30代半ばから70代後半までと幅広く、最も多い利用層は50代、60代である。現状では、DMの配布などの積極的な広告活動はおこなっていないにもかかわらず、順調に会員数は増えている。
オープンから一年足らずでここまで会員数を増やすことができた要因としては、「ウェルネスシステムキー」を使った日々の健康管理、充実したスタッフ教育、スタジオプログラム等のソフト面のノウハウ提供など、テクノジム社のサポートによって、スタート当初からトラブルもなく、スムーズな運営をおこなえたことが大きい。
ヴァレオプロの目的は、地域住民の健康を維持することである。そのためには、運動を日々の生活の一部として取り入れてもらわなければならない。つまり、定期的に施設に足を運んでもらう必要がある。
実際、同施設の利用率は非常に高い。一日に全会員の3分の1以上にあたる約350人もの利用がある。その背景には、「ウエルネスシステムキー」を用いたサポートによる利用者の満足度、充実感の高さ、また、クリニックが併設されていて、保健師や管理栄養士、理学療法士といった、医療知識を備えた専門スタッフが多数いるという安心感があるのだろう。
そして、高級感の溢れる建物、内観でありながら、決して敷居が高いわけではなく、利用者は受付でもトレーニング中でも気軽にスタッフに話しかけられる、スタッフとの距離感の近さがある。こうした高級感の中にあるアットホームな雰囲気が、42条施設が成功する大切なポイントではないだろうか。
高崎市の住民の健康を守るという、社会貢献意識から生まれた同施設。小林マネージャーは、「会員の皆様が『Valeo Proの会員でよかった』と感じてくださるようなサービスを提供していきたい」と語る。
(取材・執筆:メディプラザ アドバイザー 田原和斉)
医療機関の安心感,スタッフとの近い距離感,施設の高級感が魅力の、地域住民が毎日通いたくなる健康増進施設
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